看護師お悩み相談室

私は、インシデントが多くて報告書を良く書いています。インシデントまでいかないミスも多く、上司に、あなたはこないだのあの事をどう思ってるの？と聞かれ、振り返りをこうしました。と報告したところ、振り返りになっていない！きちんと振り返れていないからミスがでてくる要領が悪いのも振り返りがきちんとできていないから。と言われました。自分では振り返りをきちんとしているつもりでしたが、できていないので振り返りをどのようにすれば、ミスなく要領良く業務をこなす事ができるのでしょうか？アドバイスを下さい。よろしくお願いします。

インシデント報告書、私もよく書きました。
自分じゃその瞬間はミスしていないと思っていますから、後から発覚した時になってみてようやく気付くことがほとんどなんですよね。

そして時間がたって振り返ろうとしてみても、そもそもなぜミスが起きたのかという根本を探すのにすごく時間を要してしまうものです。

私の上司はよく「何で」と聞いてきました。
経験が積まれてきてようやく考えもまとまってきましたが、こういう聴き方って実は一番やっちゃいけないんですよね。
「何でミスしたの」と聞かれても、その瞬間はミスしていないと思い込んでいるわけですから、その瞬間の自分を振り返っても、直接的な原因が見つからないのです。

看護の仕事というのは、実は確認作業でほとんどのミスが防げるようになっているはずです。
私の職場は点滴の準備からミキシングまで看護師がしてましたし、内服も、点滴のルート確保も、全部やってました。そのための確認項目があって、それを順守すれば、新人だろうがミスが起きないという仕組みです。（たまーに不可抗力のものもありますが、大事には至りません）


例えば、１０時に投与開始しなければいけない薬を忘れてしまったとしましょう。
何故忘れたのか？というところを問い詰めていくと、忙しかった、うっかりしていた、という部分になると思います。
でもこれでは解決には至らないのですよね。

今日、この患者さんに処方されている薬が、なぜこの時間に必要なのか。
そのあたりを振り返ると、必然的に、患者さんと病態と薬との関連性が自分の中で整理できるようになります。

要は知識です。ミスをする原因は、確認不足やうっかり、ということも多々ですが、それらを引き起こす誘因として、知識不足は大きいと経験上感じています。

そして振り返り方ですが、ひとつのミスを起こした時、「どうしてできなかったのか」、ではなく、「じゃあ、どうすればできるようになるのか」、というのを考えましょう。

そして知識をつけましょう。病態、薬、ケア技術、覚えることは山ほどです。
技術が未熟でも、知識がつけば、ミスを予防することにもつながります。

あとは、手順は決して飛ばさない事。
どれだけ忙しくても、絶対に手順を飛ばしてはいけません。
いつかミスになります。

確認事にはきちんとしたルールが病院ごとに存在していると思います。
過信と慢心は禁物です。

もしかしたら～という危険予知訓練も、ミス防止にとても役立つ訓練法なので、勉強してみてください。

なぜミスをしたのかという考え方で行き詰るのなら少し視点を変えて考えてみてはいかがでしょうか。
たとえば、次に同じ状況が起こったとき、どのようにすればミスを防げるかという視点で考えてみます。
ミスを犯した原因を考える際に”注意不足”というような漠然とした原因が思い浮かぶことってありますよね。
その時にじゃあ次は具体的にどの時点で、どの場所で、どういったポイントをどのように注意すれば同じミスを犯さないかということを考えるのです。
そしてそれらにはなぜそのタイミングなのか、なぜその場所なのか、なぜそのポイントなのかという理由が必ずあるはずです。
それらを考えれば自ずと漠然とした”注意不足”ということの中身が見えてきます。

また、”手順を守らないからミスをした”という視点もあると思います。
ミスをした時にどういう手順が抜けていたからミスをしたのかと考えるのです。
たとえマニュアルがなくとも、その時々で正しい手順が必ずあります。
職場にマニュアルがあるならそれを活用すれば良いと思いますし、なかったとしても必ずこの手順を守って行うと自分で決めておくのです。
”確認する”という行為も手順の一つです。
毎回同じ手順を必ず守る、そしてその手順でミスをしたら手順に不備があるから考え直す、それを繰り返すうちにだんだんとミスに強い手順を作ることができます。
その時になぜその手順なのかということを考えるとより良い振り返りができると思います。