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静脈注射・採血について(手術患者の場合、手背の皮静脈にライン確保とあるのですが…)

<2015年10月17日 受信>
件名:静脈注射・採血について(手術患者の場合、手背の皮静脈にライン確保とあるのですが…)
投稿者:タスキチ

手術患者の場合、手背の皮静脈にライン確保とあるのですが、この時、「中枢側の穿刺に失敗して抹消に戻るのは禁忌」と言われたのですが、どうしてなのでしょうか?
文献やネット検索してもわかりませんでした。
宜しくお願いします。

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No.1
<2015年10月17日 受信>
件名:無題
投稿者:匿名

末梢から中枢に向かって、静脈は流れています。
中枢で失敗して、末梢に刺すと、中枢で刺して失敗した場所はまだ血管の修復がされていないので、漏れてしまいます。


No.2
<2015年10月18日 受信>
件名:無題
投稿者:B

元手術室看護師です。私の勤務していたところでは患者さん入室後、手術室の看護師がルート確保していました。その後は透析や採血に関わる仕事をしていました。どこかの文献とかというわけにはいかないのですが、私の考え方と経験で書かせていただきます。

第一選択として、中枢側に穿刺して失敗し、次にその失敗した中枢側の血管のさらに末梢からルート確保に成功したとします。
薬剤を注入した時に、第一選択して失敗した中枢側の針穴から薬剤が漏れてしまう可能性を考えてみるといかがでしょうか。

採血でも点滴でも、針を血管内まで到達させる行為を行うと、血管に「傷」ができます。
そして、一度のトライでスムーズに血管に入った時や細い針を使った時でさえ、穿刺部位の周りに皮下出血していることがあります。穿刺時に漏れることもありますが、大抵は抜針直後の止血の成否が皮下出血を起こすか起こさないかの鍵です。
皮膚から出血が無くても皮下でじわじわと血液が漏れ出ている場合があるということです。
また、一度止血されていても、血管の「傷」の癒合が完全でない状態で圧がかかると「傷」が開き、再び出血してくることもあります。

今回のご質問では「手術」となっていました。
手術や麻酔の内容によりますが、輸血なども考慮していたらかなり太い針も使いますし、血圧が下がった時に補液の急速注入が必要な場合もありますから、細い針では状況に対応できない場合もあります。太い針は細い針より大きな「傷」を血管に作ります。
また、使用する薬剤の中には、血管外漏出した時に炎症を起こしたり、皮膚壊死を起こしたりするとされる薬剤もあります。極端かもしれませんが血管外に薬剤が漏れてしまうことで、必要な量が血液内に注入されず、十分な薬効が得られないことも考えられます。

局所麻酔のみの場合はルートを取らないこともあります。けれど、それ以外の麻酔方法が選択されたときは、ほぼルート確保されます。失敗しても静脈ですから、基本的には止血は容易になされるはずだし、抜針後しっかりと一度止血されればさらに末梢からのアプローチでも問題ない場合もあるでしょう。
しかし、手術台の上で待たされる患者さんの痛みや不安感を想像し、今から手術をするぞ、という入れ込んだ面々(医師等)が取り巻く状況下で、しっかり止血している自分を想像するといたたまれない(笑)。

末梢側を止血しつつ、より中枢側でルートを確保して手術開始、はありますが、中枢側を止血しつつ、同一血管の、より末梢でルート確保したら…採血は出来ます(笑)。針は血管に入ったけれど、失敗したところの止血中は注入ルートとして使えない状態になります。上流を堰き止めています。どのくらいしたら完全に止血されたかも不確かです。
禁忌という強い禁止の認識まではなかったのですけれど、そのような実状故に、実務中は中枢から末梢という選択はありませんでした。解剖的に絶対に別血管ならあり…かと…。

ある程度太さのある静脈のほうが血管痛や血管炎を起こしづらいし、太め(&長め)の針を留置しやすい、と認識していたので、手背の皮静脈が妥当かということはさておき、静脈血の流れを考えると、先ず末梢からトライしようという考え方になり、「中枢側の穿刺に失敗して抹消に戻るのは禁忌」とされているのだと思いました。

ルート確保の部位についてです。前腕部分の橈側皮静脈(副含む)も尺側皮静脈(やや深め)も太めでまっすぐで固定もしやすく良いと思います。内側(尺側皮静脈側)への穿刺は穿刺時の痛みが強いと言われることも多かったので、手背「側」の皮静脈ということであれば、第一選択部位としてより良いと思います。足関節内踝の近くから中枢に向かっての大伏在静脈も、術後のADLが配慮されるなら良いところだと思います。やむを得ず手背を選択することもありましたが、静脈弁が多い印象で、滴下が不安定になりやすく(ポンプ使用で解決…)、長い針を留置しづらい(途中まで入れて固定とか…)ことがあると感じていました。橈骨遠位端部は血管の視認が容易なことが多くアプローチしたくなりますが、神経も近くリスクがあります。また、将来透析療法を受けることになった場合シャント作成のためにも大切にしたいところです。(余談ですね)

手術部位にもよりますけれど、術中は覆布がかかり、あまりに中枢側の刺入部は観察もしにくいです。補液が漏れたりしていても全身麻酔下では患者さんは痛みを訴えることが出来ません。
肘窩などの屈曲する部位は、サーフロー等の留置針であっても患者さんが急に体動した場合に折れ曲がる危険もありますし、血管内壁を傷つけたり、折れたことで滴下が不安定になったりすることもあります。術中に限らず金属針でのルート確保は、体動により血管壁を傷つけてしまうこともあります。

ここならいける、という血管を解剖生理の知識を基に、術中術後の事も考慮しながら物理的(血圧と駆血圧の関係等)にも工夫して探し出す。しかもなるべく素早く。
探し出すのが1番、そのデータを蓄積していると、選択が早くなる。穿刺の技術はついてくる。そうしていると肉付きの良い方とかでも自信を持って針がさせるようになってくると思います。

現状、血管内・血液に到達するためには針を刺す等して体に傷をつけ、痛みを伴う行為以外に方法がありません。施行頻度も高いです。少しでも痛みが少なく針を刺す方法も工夫しています。どちらも患者さんに喜んでいただけます。よって、これからも精進したい技術の一つです。
静脈の流れ・手術時に使う針の種類・使用薬剤と使用方法・危険の回避・想い(笑)といったところから長々と熱くなってしまいました。
ご承知の事柄もあることと存じますが、いくらかでもご参考になればと思います。

 
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